誕生日に夫にプレゼントされたのは、はけないほど細いジーンズでした。
「このままじゃ恥ずかしくて一緒に歩けないよ」その夫の言葉にムリしてダイエットを始めますが、体調がだんだん悪化していきます。
その原因はなんと「若年性更年期障害」だったのです…。
タイトル:飢餓の家① (ストーリーな女たち)
作者:なかのゆみ
1.ガラスの心
2.不快な日常
3.死にゆく体
4.痛い毎日
5.私を殺さないで
恐怖度 ★★★★★
おススメ度 ★★★★★
あらすじとネタバレ
主人公は高森 亜希(たかもり あき)専業主婦で、夫と小さな娘と3人暮らしです。
ある日夫から、
「亜希、誕生日おめでとう」
とプレゼントをもらい、中を見るとそれは到底はけないくらいの細いジーンズでした。
亜希は、
「こんな細いジーンズはけないわ」
と言いますが、夫は
「頑張ってダイエットしてよ」
「昔はとってもスマートだったろ」
「このままじゃ恥ずかしくて一緒に歩けないよ」
と無責任なことを言います。
亜希は結婚してから20㎏太ってしまっていたため、
「わかった食事を我慢してやってみるわよ」
としぶしぶダイエットを受け入れたのです。
こんにゃくに寒天、野菜などを食べ頑張ってダイエットに取り組むと、1ヵ月後には5㎏も痩せることが出来たのです。
それからも頑張ってダイエットに励むのですが、娘を学校に送り出した後は何もしたくなくなってしまいます。
新聞を開く気にもならないし、テレビすら見る気になりません。
片頭痛もするし、手足もやたらと冷えてしまいます。
さらに顔の前にストーブをあてられたように、顔から汗がだぁ~っと汗がふき出てきます。
生理は先月も今月もないことから、妊娠したのかもと考えて検査しましたが、妊娠はしていませんでした。
その時はまだ生理不順なんだなと考えていたのです…。
その夜、夫は亜希を抱こうとします。
「くびれを抱くのは8年ぶりかな、うれしいよ」
と言って、挿入しようとした瞬間、
「痛い、やめて!」
と亜希は叫びます。
結局Hはすることが出来ませんでした。
他にもトイレに行く回数も増え、耳鳴りや吐き気もしてきます。
不安になった亜希は内科で見てもらいますが、何の以上も見られませんでした。
しかし状態は悪化していき、生理かと思ったものに、血の混じったおりものにうみも混じっていることに気が付きます。
子宮ガン?膣ガン?と亜希は不安になりながら、今度は婦人科を診療するのでした。
そこで下された診断は「若年性更年期障害」だったのです。
亜希は医師に、
「私まだ30歳です、更年期なんて」
と言いますが、医師は亜希に説明します。
まず無理なダイエットで生理が来なくなり、女性ホルモンが減少してしまったこと。
それから膣が乾燥して自然浄化の力が落ちてしまい、細菌や雑菌が繁殖してしまったのです。
そうなるとカンジタ膣炎や子宮内膜症をおこす可能性が高くなってしまうのです。
そして医師は亜希に「ホルモン補充療法」を提案するのでした。
これは下腹部や背中に貼付剤を貼るだけで、体内にホルモンを送ることができる治療薬でした。
そしてきちんと1日3回食事を食べるようにと指導されたのでした。
その夜病院からもらってきた薬のおかげで、亜希はやっとぐっすりと眠ることが出来たのです。
感想とまとめ
更年期は人によってはかなり辛いとよく聞きます。
亜希のように無理なダイエットをすると、若いうちからホルモンバランスが狂ってしまい若年性の更年期障害になり事があるということを初めて知りました。
今はダイエットブームで、炭水化物を抜いたローカーボダイエットなんかも流行っていますよね。
炭水化物を抜いて他の栄養素をしっかり摂るのなら良いかもしれませんが、栄養素を考えずに行うダイエットは健康を害してしまう可能性って高いんです。
骨がスカスカになったり、便秘だったり、肌荒れだったり。
何事も極端にやってしまうと、体の負担が大きいという事なんでしょうね。
ムリしてダイエットしているという方は、「不快な日常」を読んでもらうとその危険性がわかると思います。
運動しながらムリのないダイエットを心がけましょう!
他に収録されている作品はこちら
「不快な日常」は、ストーリーな女たちの「飢餓の家」の2話目に収録されています。他の4作品も面白いですので、こちらも読んでみて下さいね。